-
障害年金はいつから請求できますか?
-
障害年金は原則として20歳から64歳までの方が、初診日から1年6ヶ月経過した日以降、または初診日から1年6ヶ月以内に傷病が治った(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った)と認められる日以降に請求できます。
20歳未満や65歳以降の方が請求できる場合もありますので、詳しくはご相談ください。
※初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のこと
-
障害年金は生涯にわたって受け取れるのでしょうか?
-
障害年金は、支給が開始されれば障害の等級に該当している間は受給し続けることが可能です。障害の等級に該当しているかどうかは受給が決定した後、1~5年の間に更新の手続きをしなければなりません。
何年後に更新があるかは、人それぞれの状況により異なります。更新の際は診断書(障害状態確認届)を提出することになりますが、診断書の内容で症状が軽減されている場合には、年金が受け取れなくなったり、障害等級が下がったりすることも。逆に症状が悪化している場合には、障害等級が上がることもあります。また、症状が固定していて変わらない「永久認定」に認定されると、定期的な診断書の提出は不要です。
-
障害年金を受け取ると、デメリットになることはなにかありますか?
-
障害年金の受給によるデメリットと考えられるものとして、主に以下のものがあります。
1.健康保険の扶養から外れるケース
障害年金額が180万円以上の場合、または障害年金と他の収入が年額180万円以上となる場合は、家族の扶養から外れることになります。そのようなケースでは、ご自身で国民健康保険料や国民年金保険料などを納める必要があります。
ただ、障害年金で一番少ない額である障害厚生年金3級だったとしても、最低保障で月額約48,000円の保証が受けられるので、扶養から外れた負担分より障害年金受給による収入の方が上回る可能性が高いです。
2.障害年金の受給を勤務先に知られるケース
日本年金機構から、従業員の方の障害年金受給状況に関する情報が会社に伝わることはありません。
しかし、障害厚生年金を受給中または請求中に同じ傷病で健康保険の傷病手当金を申請される場合は、傷病手当金の申請用紙に障害厚生年金を受給中であることや傷病名などを記載する欄があるので、それによって勤務先に知られる可能性があります。
また家族の健康保険の扶養に入っている方が障害年金を受給した場合、家族の勤務先に障害年金を受給していることを知られる可能性があります。上記1.のケースの場合、家族の扶養から外れる際に年収が180万円以上であることを確認するため、年金通知書の写しなどを家族の勤務先に提出する必要があるからです。
さらに障害年金受給者が新たに家族の健康保険の扶養に入る場合も、家族の勤務先に障害年金を受給していることを知られる可能性があります。扶養に入る条件である年収が180万円未満であることを確認するために、年金通知書の写しなどを家族の勤務先に提出する必要があるためです。
3.寡婦年金・死亡一時金がもらえないケース
障害基礎年金を受給するとその受給者が死亡した場合に、残された家族へ支給される寡婦年金と死亡一時金を家族が受け取れなくなります。寡婦年金とは、国民年金(第1号被保険者)の加入期間・免除期間の合計が10年以上ある夫が亡くなった時に、一定条件(※)を満たす妻へ60歳から65歳になるまでの間支給される年金です。寡婦年金の額は、夫が生きていれば65歳から受給できる老齢基礎年金の4分の3になります。
※①婚姻関係を10年以上継続 ②夫が生計を維持
死亡一時金とは、国民年金の保険料を36ヶ月以上納付した人が亡くなった場合、その方によって生計を同じくしていた遺族に支給される一時金です(最大で32万円)。支給額は最大で32万円になります。寡婦年金は最大5年間の有期年金ですが、障害年金は更新される限り受給が可能です。通常は、障害年金を受給するメリットの方が寡婦年金や死亡一時金を受給できないデメリットを上回ると考えられます。ただ、余命が半年ももたない方や配偶者に寡婦年金を受け取ってもらいたい方は、障害年金を請求するかについて考慮する必要があります。
4.老齢年金が繰下げできないケース
老齢年金の繰下げとは、65歳からもらえる老齢年金の受給を先延ばしすることで、その分年金額が増大するというものです。障害厚生年金の受給権者は、この老齢年金の繰下げができません。ただし、障害基礎年金だけの受給権者である場合には、老齢厚生年金の繰下げの申し出を行なうことができます。
-
どのような場合に、障害年金の支給が停止されますか?
-
障害年金と同一の傷病で労働基準法による障害補償(労働基準法77条)を受けることができる場合は、6年間障害年金は支給停止となります。しかし、労災法に基づいてこれと同等以上の補償がされる場合は補償責任を免れると規定されているため、この規定に基づいて障害年金が支給停止になることは極めて限定的だと考えられます。なお、同一の傷病で労災の障害(補償)年金と障害年金を同時に受給できるときは、障害(補償)年金は一部が減額となり、障害基礎年金と障害厚生年金は全額支給されます。
また、交通事故など第三者行為が原因の障害で障害年金を受給した場合、事故発生日から一定期間(最長36ヶ月)障害年金が支給停止になる場合があります。上記以外で支給停止されるケースはおもに障害の程度が障害等級に満たないと判断された場合や、20歳前の傷病で障害基礎年金を受給されている方が支給停止の要件に該当した場合があります。
1.障害の程度が障害等級に満たないと判断された場合
障害年金を受給すると、病状が固定していて変わらないと認定(永久認定)された方以外は、1~5年の間に更新の手続きが必要になります。しかし、その更新時の診断書(障害状態確認届)によって障害の程度が軽快したと判断されれば、支給停止になったり、もしくは下位等級に減額改定(級落ち)されたりすることも。
障害の程度が変わっていないのに支給停止になったときには、その処分に対して不服申立て(審査請求)をすることが可能です。一方、障害の程度が軽減したことが事実と認められる場合で支給停止になったときには、再びその傷病の程度が増進した時点で支給停止解除のための手続き(支給停止事由消滅届)を行うことができます。ただし、障害の程度が3級不該当で65歳に達したとき(※)は、失権して障害年金の受給権がなくなるので、その後、支給停止解除のための手続きを行うことができなくなりますので注意が必要です。
※65歳到達時に3級不該当から3年経過していない場合は、3級不該当から3級以上に該当することなく3年経過したときが対象
2.20歳前に傷病を負った人で障害基礎年金を受給されている方が支給停止の要件に該当した場合
年金に加入できない20歳より前に初診日(病気やケガのために初めて病院に行った日)がある障害で障害基礎年金を受給されている方が次の場合には支給停止されます。
①所得制限による支給停止
前年の所得額が所得制限額462.1万円を超える場合は全額支給停止。360.4万円を超える場合は2分の1支給停止となります。なお扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算されます。
※対象となる扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であるときは、1人につき48万円が加算され、特定扶養親族であるときは1人につき63万円が加算されます。
②恩給や労災保険の年金等を受給しているとき
③海外に居住したとき
④刑務所等の矯正施設に入所したとき(有罪が確定している場合)
-
障害年金をもらえることになった場合、65歳以降にもらえる老齢年金の金額は減りますか?
-
65歳以降にもらえる老齢年金の金額が減ることはありません。
-
生活保護と障害年金は両方もらえますか?
-
生活保護と障害年金のどちらからももらえる場合は原則、生活保護費から障害年金の額が差し引かれます。生活保護を受給している時に障害年金を請求する意味がないように感じるかもしれません。
しかし、障害年金をもらうと生活保護に障害者加算がつき、生活保護費が増えることもあります。また生活保護を受給している方が生活保護の基準以上の収入を得られるようになった場合は生活保護が終了しますが、この時障害年金の受給権を持っていた場合、収入があっても障害年金の受給は続けることができます。ただ障害年金は原則64歳までに請求しないといけませんので、注意が必要です。
-
失業保険をもらうと障害年金はもらえますか?
-
障害年金は、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給しても減額や支給停止はされません。また、失業保険も減額されません。
-
健康保険の傷病手当金と障害年金は両方もらえますか?
-
同じ病気やケガで障害厚生年金を受けている場合、両方をもらうことはできません。障害厚生年金が優先的に支給されます。傷病手当金の金額が障害厚生年金の金額より多い場合は、傷病手当金の額は障害厚生年金を差し引いた差額の支給となり、障害厚生年金の額と合わせると、もとの傷病手当金支給額と変わりません。
これは、同じ病気やケガで傷病手当金と障害厚生年金を受けている場合の調整ですので、違う病気やケガの場合は両方もらえます。また、障害基礎年金のみを受給している場合は、同一傷病であっても調整されません。