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メニエール病で障害年金を請求(申請)するポイントとは

メニエール病で障害年金を請求(申請)するポイントとは

病気やケガにより労働できなくなり、生活に困った場合に受給できる年金として「障害年金」というものがあります。メニエール病も障害年金の対象となります。

この記事では、メニエール病で障害年金を請求する場合のポイントについて解説していきます。

メニエール病の障害年金について

メニエール病とは、耳の奥にある平衡感覚を司る器官「内耳」にリンパ液がたまることによって、聴力の低下や体の平衡感覚に異常が起きる病気です。

メニエール病になると、ぐるぐると回るような回転性のめまいと難聴・耳鳴り・耳閉塞感が同時に重なり繰り返します。

障害年金の認定対象になっていますので、所定の要件を満たせば障害年金が受給できます。

詳しい基準をご説明する前に、まず、障害年金の制度について簡単にご説明します。

障害年金について

「障害年金」とは、病気やケガにより、日常生活や仕事に支障が出る場合に請求し、受給することができるものです。

これは国から支給される年金で、老齢年金などと同じ公的保障の1つですので、所定の要件を満たせば誰もが受給することができます。

原則として、20歳から65歳誕生日の前々日までに請求しなければならなりませんので注意が必要です。

障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」といったの2種類の年金があります。

初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)に国民年金に加入していた方(自営業者・専業主婦・学生など)や20歳前だった方、または60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)だった方は「障害基礎年金」が受給対象になります。

※20歳前に初診日がある方の「障害基礎年金」には年金の支給に関して制限や調整があります(所得による支給制限など)。

初診日に厚生年金に加入していた方(会社勤務・公務員など)は「障害厚生年金」が受給対象になります。


「障害基礎年金」は、障害の程度に応じて等級は1級と2級の2区分に分けられます。

「障害厚生年金」は、障害の程度に応じて等級は1級~3級の3区分に分けられます。
また3級に該当しない場合も「障害手当金」という一時金が受給できる場合があります。
※障害手当金は、厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがが初診日から5年以内に治っている(症状が固定されている)ことが条件になります。

障害年金を受給するには、病気やケガの状態に関する要件だけでなく、公的年金への加入状況(保険料納付状況)に関する要件が設定されています。

実際に障害年の請求手続きをする際に慌てることがないよう、以下に受給要件に関する説明をしますので必ず確認しておきましょう。

障害年金を受給するための3つの要件

病気やケガを理由に障害年金を請求するとき、以下の3つの要件を満たさなければ受給が認められません。

①初診日要件
②障害認定日要件
③保険料納付要件

病気やケガをし、初めて医療機関を受診してから所定の日数が経過していなければ請求できない事は、案外知らない人が多いですので注意してください。

①初診日要件について

初診日とは、「障害の原因になった傷病につき、初めて医師もしくは歯科医師の診療を受けた日(その症状で初めて診療を受けた日)」のことです。

障害年金の受給には、以下のいずれかの条件(障害の原因となった病気やケガの初診日が次のいずれかの間にあること)に該当することが必要になってきます。

・国民年金加入期間

・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰り上げ請求していない場合に限る)

・厚生年金保険の被保険者


障害年金が受給できるかは初診日を基準にして審査が行われるため、初診日の時点において加入していた年金制度によって請求できる障害年金の種類が変わってきます。

先述しましたように、初診日とはその傷病で初めて医療機関を受診した日のことを言います。その症状で初めて診療を受けた日であり、傷病の確定診断が行われた日ではありませんので注意してください。

②障害認定日要件について

初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やケガが治った場合(症状が固定した場合)はその日を障害認定日(障害基礎年金の場合、障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)といいます。

この障害認定日に障害等級表に定める障害になっていることが要件となります。
そのため障害があってもすぐに障害年金を請求したり受給できるわけではなく、1年6カ月経過するか治って(症状が固定して)から請求する必要があります。


※障害認定日の時に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときは事後重症という形で請求ができます。ただし、65歳の誕生日の前々日までに請求しなければなりません。

③保険料納付要件について

障害年金を受給するためには、保険料の納付期間も大きなポイントであり、以下の要件を満たさなければなりません。

【保険料納付要件の原則】
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

つまり、原則、20歳に到達した月から初診日の前々月までの期間に、3分の2以上の保険料を納めているか免除されていなければなりません。
20歳より前に厚生年金加入期間がある場合は、その期間も含めて計算します。

ただし、保険料納付要件には特例があり、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっていますので、過去に保険料の未納期間が多かった方でも障害年金を受給できる可能性があります(初診日が令和8年4月1日前にある場合に限る)。

保険料納付要件の原則及び特例は「初診日の前日」において保険料が納付されていたかで見ますので、初診日の後に保険料が納付されてもカウントされません。


また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は不要です。

障害年金の受給額

障害年金で受給できる金額は初診日に加入していた年金制度の種類や障害等級によって変わってきます。
また配偶者や子どもがいる場合はそれぞれ一定額が加算される場合があります。
年金額は年度によって改定されます。以下に金額を記載します。

【障害基礎年金の年額(令和6年度)】1級と2級があり、金額は固定です。

〔昭和31年4月2日以後生まれの方〕
1級:102万0,000円(2級の1.25倍)+子の加算額※
2級:81万6,000円+子の加算額※

〔昭和31年4月1日以前生まれの方〕
1級:101万7,125円(2級の1.25倍)+子の加算額※
2級:81万3,700円+子の加算額※

※子の加算額は一人につき23万4,800円加算されます(3人目以降の子は7万8,300円加算)
※子の加算額はその方に生計を維持されている子がいるときに加算されます。
なお、子とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。



【障害厚生年金の年額(令和6年度)】1級~3級があります。1級または2級に該当した方は、原則として、同じ等級の障害基礎年金も支給されます。

1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額※
2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額※
3級:報酬比例の年金額(最低保証額:昭和31年4月2日以後生まれの方61万2,000円、昭和31年4月1日以前生まれの方61万300円)

※配偶者の加給年金額は年額23万4,800円が加算されます。
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者(年収850万円未満または所得額655万5,000円未満)がいるときに加算されます。
※配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。

障害厚生年金には上記1級~3級の年金以外に、初診日から5年を経過するまでに「傷病が治った(症状が固定された)」場合に一時金として支給される障害手当金もあります。
障害手当金の金額は、障害厚生年金3級の2年分(最低保証額:122万4,000円)になります。



報酬比例の年金額については下記の日本年金機構のページをご覧ください。

引用コンテンツ:報酬比例の年金額


引用元:日本年金機構詳しくはこちらへ

メニエール病を請求(申請)する場合の障害認定基準とは

メニエール病は聴覚と平衡機能感覚に関する症状が出てきます。

障害年金を請求(申請)する場合には、聴覚の障害や平衡機能の障害として請求(申請)することになりますので、それぞれの認定基準について見ていきます。

聴覚の障害の認定基準

聴覚の障害認定基準では、障害の状態によって下記のとおり等級が定められています。

※障害の状態は、補聴器などの補助用具を装着しない状態で測定した数値で認定されます。

障害等級    障害の状態

1級   両耳の聴力レベルが 100 デシベル以上のもの

2級   両耳の聴力レベルが 90 デシベル以上のもの

2級   両耳の平均純音聴力レベル値が 80 デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が 30%以下のもの

3級   両耳の平均純音聴力レベル値が 70 デシベル以上のもの

3級   両耳の平均純音聴力レベル値が 50 デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が 50%以下のもの

障害手当金 一耳の平均純音聴力レベル値が 80 デシベル以上のもの


※聴力レベルは、オージオメータ(JIS 規格又はこれに準ずる標準オージオメータ)によって測定します。

※平均純音聴力レベル値とは、周波数500,1000,2000ヘルツにおける聴力レベルの平均値を指します。
平均値を求める式に当てはめて算出します。

※最良語音明瞭度とは、会話としての音が聞き取れるかどうかの検査で、検査語を被検者に書き取らせ、正答率を百分率(%)で表したものです。

※1級(両耳の聴覚レベルが100デシベル以上)に該当する診 断を行う場合には、オージオメータによる検査に加えて、聴性脳幹反応検査等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施しなければなりません。
また、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載し、記録データのコピー等を提出(添付)する必要があります。

※障害手当金は、厚生年金に加入している間に初診日があり、初診日から5年以内に治っている(症状が固定されている)ことが条件になります。

平衡機能の障害の認定基準

平衡機能の障害認定基準では、障害の状態によって下記のとおり等級が定められています。

障害等級    障害の状態

2級    四肢体幹に器質的異常がない場合に、
       閉眼で起立・立位保持が不能

2級    四肢体幹に器質的異常がない場合に、
      開眼で直線を歩行中に 10 メートル以内に転倒
      あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のもの

3級    閉眼で起立・立位保持が不安定で、開眼で直線を 10メートル歩いたとき、
      多少転倒しそうになったりよろめいたりするがどうにか歩き通す程度のもの

3級    めまいの自覚症状が強く、他覚所見として眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見
または   が認められ、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの
障害手当金 


※障害手当金は、厚生年金に加入している間に初診日があり、初診日から5年以内に治っている(症状が固定されている)ことが条件になります。

聴覚の障害と平衡機能の障害が併存する場合

聴覚の障害(特に内耳の傷病による障害)と平衡機能障害が併存する 場合には、それぞれの障害を併合して障害等級が認定されることになります。

例えば、聴覚の障害等級が2級で平衡機能も障害障害等級が2級の場合、それぞれの障害を併合して障害等級1級と認定されます。

診断書の種類と記載ポイント

メニエール病の聴覚と平衡機能感覚に関する障害の場合、障害年金請求用の診断書用紙は、「聴覚・平衡機能の障害用診断書(第120号の2)」を使用します。


引用コンテンツ:聴覚・平衡機能の障害用診断書(第120号の2)


引用元:日本年金機構聴覚・平衡機能の障害用診断書はこちらへ



聴覚の障害の場合、診断書項番⑩「(1)聴覚の障害」欄に検査数値を記入してもらいます。

検査数値が補聴器などの補助用具を装着しない状態で測定したものか確認してください。
補聴器などの補助用具を装着した状態で測定したものである場合は、訂正を依頼しましょう。

また、両耳の聴力レベルが 90 デシベル未満の場合、最良語音明瞭度やオージオグラム、語音明瞭度曲線が記載されているかも確認してください。


先述しましたが、1級(両耳の聴覚レベルが100デシベル以上)に該当する場合は、オージオメータによる検査に加えて、聴性脳幹反応検査等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施し、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載の上、記録データのコピー等を提出(添付)する必要があります。

診断書に記載に記載されていなかったり、記録データのコピー等が添付されていない場合は、医師に依頼しましょう。



平衡機能の障害の場合、診断書項番⑩「(3)平衡機能の障害」欄に必要事項を記入してもらいます。

「ア 閉眼での起立・立位保持の状態」と「イ 開眼での直線10メートル歩行の状態」のどこに〇がついているか確認し、自分の判断と乖離している場合は、医師に確認しましょう。

また、「ウ 自覚症状・他覚所見および検査所見」には、平衡機能に関する自覚症状・他覚所見および検査所見をできるだけ記載してもらいましょう。
自覚症状については、医師にお伝えして診断書に反映してもらうようにしてください。



聴覚の障害(特に内耳の傷病による障害)と平衡機能障害が併存する 場合には、それぞれの障害を併合して障害等級が認定されることになりますので、診断書には両方記載してもらうようにしてください。


※障害手当金に該当する場合は、厚生年金に加入している間に初診日があり、初診日から5年以内に治っている(症状が固定されている)ことが条件になりますので、診断書項番⑦「傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む。)かどうか」欄の「治った日」に初診日から5年以内の日付が記入され、「確認」を〇で囲んでもらう必要があります。

今回のまとめ

今回はメニエール病で障害年金を請求する際のポイントをご説明いたしました。

初診日については、その症状で初めて診療を受けた日であり、メニエール病の確定診断が行われた日とは限りませんので注意してください。

診断書を作成してもらう時は、医師に現状を伝え、診断書に反映されるようにしてください。

聴覚の障害の場合、検査数値が補聴器などの補助用具を装着しない状態で測定したものか確認してください。

平衡機能の障害の場合、平衡機能に関する自覚症状・他覚所見および検査所見をできるだけ記載してもらってください。


障害年金を請求する場合には、作成された診断書の内容を見て必要な事項が記載されたものか確認しましょう。

もし、障害の状態と作成された診断書の内容に乖離がある場合は、障害年金を請求する前に医師に相談してみましょう。


請求手続きが難しいと思われる場合は社会保険労務士(社労士)に依頼するという方法もあります。

社労士とは年金の専門家であり、障害年金に必要な書類の準備・作成・請求手続きをしたり、不支給の決定がされた場合に不服申し立ての手続きをするなど様々なサポートを受けることができます。

多くの社労士は初回無料相談を行っていますので、利用してみてください。

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