BLOG ブログ

受給する前におさえておくべき障害年金を受給する5つのデメリットとは?

受給する前におさえておくべき障害年金を受給する5つのデメリットとは?

大きなケガや病気が原因で働けなくなったときなど、これまで通りの生活や労働が難しくなったときには「障害年金」を受給することができます。心身のケアを優先したいとき、障害年金は経済面で大きな支えになるでしょう。しかし、この障害年金の受給時にはいくつか気を付けるべき点があります。ここでは障害年金を受給する際の5つのデメリットについて解説します。

公的保障の1つである障害年金

「障害年金」とは、病気やケガにより、日常生活や仕事に支障が出る場合に請求し、受給することができるものです。これは国から支給される年金で、老齢年金などと同じ公的保障の1つですので、所定の要件を満たせば誰もが受給することができます。

障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」といったの2種類の年金があります。
初診日に国民年金に加入していた人は「障害基礎年金」、初診日に厚生年金に加入していた人は「障害厚生年金」を受給することができます。
障害年金を受給するには、病気やケガの状態に関する要件だけでなく、公的年金への加入状況(保険料納付状況)に関する要件が設定されています。実際に障害年の請求手続きをする際に慌てることがないよう、以下に受給要件に関する説明をしますので必ず確認しておきましょう。

障害年金を受給するための3つの要件

病気やケガを理由に障害年金を請求するとき、以下の3つの要件を満たさなければ受給が認められれません。

初診日要件
障害認定日要件
保険料納付要件
病気やケガをし、初めて医療機関を受診してから所定の日数が経過していなければ請求できない事は、案外知らない人が多いですので注意してください。

障害年金の受給に必要となる3つの要件を、以下に詳しく解説いたします。

①初診日要件について

初診日とは、「障害の原因になった傷病につき、初めて医師もしくは歯科医師の診療を受けた日(その症状で初めて診療を受けた日)」のことです。

障害年金の受給には、以下のいずれかの条件(障害の原因となった病気やケガの初診日が次のいずれかの間にあること)に該当することが必要になってきます。

・国民年金加入期間
・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰り上げ請求していない場合に限る)
・厚生年金保険の被保険者

障害年金が受給できるかは初診日を基準にして審査が行われるため、初診日の時点において加入していた年金制度によって請求できる障害年金の種類が変わってきます。先述しましたように、初診日とはその傷病で初めて医療機関を受診した日のことを言います。その症状で初めて診療を受けた日であり、傷病の確定診断が行われた日ではありませんので注意してください。

②障害認定日要件について

初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やケガが治った場合(症状が固定した場合)はその日を障害認定日(障害基礎年金の場合、障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)といいます。この障害認定日に障害等級表に定める障害になっていることが要件となります。
そのため障害があってもすぐに障害年金を請求したり受給できるわけではなく、1年6ヶ月経過するか治って(症状が固定して)から請求する必要があります。


引用コンテンツ:障害認定日


引用元:日本年金機構詳しくはこちらへ


※また、障害認定日の時に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときは事後重症という形で請求ができます。ただし、65歳の誕生日の前々日までに請求しなければなりません。

③保険料納付要件について

障害年金を受給するためには、保険料の納付期間も大きなポイントであり、以下の要件を満たさなければなりません。

初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は不要です。

障害年金受給時に注意すべき5つのデメリット

いままで通りの生活ができなくなったり働けなくなったりした場合に受給できる障害年金ですが、請求にあたって予め知っておいたほうが良い点がいくつかあります。

療養中の経済的不安が軽減されるという大きなメリットはありますが、「請求前に知っておきたかった」と感じる可能性のある内容はデメリットと考えることもできます。

ここでは以下の5つのデメリットと考えられることについて解説しますので、これらの内容を知った上で障害年金を請求するようにしましょう。

①勤務先に障害年金の受給状況を知られる可能性がある
➁健康保険の扶養から外れる場合がある
③所得制限の対象になる場合がある
④請求してから受給するまでに時間がかかる
⑤死亡一時金や寡婦年金が受給できない

①勤務先に障害年金の受給状況を知られる可能性がある

日本年金機構から、従業員の方の障害年金受給状況に関する情報が会社に伝わることはありません。老齢年金とは違い障害年金は非課税で、年末調整での申告も必要ありません。

しかし、障害厚生年金を受給中または請求中に同じ傷病で健康保険の傷病手当金を申請される場合は、傷病手当金の申請用紙に障害厚生年金を受給中であることや傷病名などを記載する欄があるので、それによって勤務先に知られる可能性がありますので注意しましょう。

②健康保険の扶養から外れる場合がある

健康保険の被扶養者の認定では、一般的に年間収入が130万円以上になると扶養から外れますが、被扶養者が障害年金を受給している時は、この上限が180万円となります。

前述の通り、障害年金は非課税なのですが、健康保険の扶養認定時には収入とみなされます。障害年金とそれ以外の収入が180万円以上になる場合は扶養から外れるため、ご自身で国民健康保険料や国民年金保険料などを納める必要が出てきます。

③所得制限の対象になる場合がある

障害年金は基本的に所得制限は設けられていませんが、以下の2つの場合に限っては、公平性の観点により所得制限が課せられています。

①20歳前の傷病による障害基礎年金を受給している場合
20歳になる前の傷病が原因で障害状態となった場合、20歳に達したときに障害等級が2級以上であれば障害基礎年金を受給できますが、この場合、年金加入(保険料納付)が要件でないことから、所得よって年金の支給が制限されます。

具体的には、前年の所得が4,721,000円を超える場合は年金全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金が支給停止となります。

②特別障害給付金の対象者の場合
国民年金に任意加入していなかったことにより、障害基礎年金等を受給していない障害者の方を対象とした特別障害給付金を受け取っている場合も障害年金に所得制限が設けられています。

20歳前の傷病による障害基礎年金を受給者と同様に、前年の所得が4,721,000円を超える場合は年金全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金が支給停止となります。

④請求してから受給するまでに時間がかかる

障害年金を早く受け取りたいと思う人は多いと思いますので、請求してから実際の受給までに時間がかかるところもデメリットの1つと言えます。

請求してから、障害基礎年金の場合約3ヵ月、障害厚生年金の場合3ヵ月~4ヵ月ほどで審査結果が出るでしょう。

ただし、等級判断のために審査の途中で主治医に照会することもあるため、長い場合は半年程度かかることもあります。

支給が決定されると年金証書が届きますが、初回の振り込みまで支給決定から1ヵ月半~2ヵ月かかります。支給決定されたからと言ってすぐにお金がもらえる訳ではないということを理解しておきましょう。

⑤死亡一時金や寡婦年金が受給できない

障害年金を受給した場合、寡婦年金や死亡一時金が受給できません。

寡婦年金は、一定期間国民年金の保険料を納付した夫が亡くなった場合に妻が受給できる年金で、妻が60歳から65歳になるまでの間支給されます。死亡した夫が障害基礎年金を受給していた場合には、寡婦年金を受け取ることができませんので注意が必要です。

また、一定期間国民年金の保険料を納付した方が死亡した場合、その方に生計を維持されていた遺族に支払われる死亡一時金にも同様の要件が設けられており、死亡した人が障害年金を受けとっていると死亡一時金は受給できません。

まとめ

傷病が原因で日常生活や労働に支障が出ている人にとって、障害年金の受給は経済的・精神的な負担を楽にすることができるというメリットがあります。

その一方で、障害年金を受給することで生じるデメリットとなる可能性もいくつか存在しますので、デメリットの内容を理解し、受給できるメリットと比較・検討することが大切です。

請求後に悔やむことがないよう障害年金を受給した時のデメリットについて確認しておきましょう。

CONTACT
お問い合わせ

障害年金の手続きに関するご質問・お問い合わせは、
以下のフォームよりお問い合わせください。