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意外と知らない?障害年金の受給金額や請求方法とは?更新や支給日に関しても徹底解説!

意外と知らない?障害年金の受給金額や請求方法とは?更新や支給日に関しても徹底解説!

病気やケガにより労働できなくなり、生活に困った場合に受給できる年金として「障害年金」というものがあります。名前は何となく聞いたことがあるけれど、いくらぐらい受給できるのか、受給条件はいったいどのようなものなのか、ご存知ない方も多いのではないでしょうか。この記事では障害年金の種類や障害等級ごとの受給金額、受給するための要件、請求や更新の方法を解説していきます。

障害年金とはどのような制度なのか?対象となる傷病とは?

障害年金とは病気やケガが原因で日常生活や仕事などに支障があるような障害をお持ちの方が受けることできる公的な年金です。
年金の種類は障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、その傷病において初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」と記載します)にどの年金制度に加入していたかにより、受給できる年金の種類が決まります。

障害年金の対象となる傷病の一例

・精神障害
統合失調症、うつ病、双極性障害、高次脳機能障害、てんかん、知的障害、発達障害など

・外部障害
眼、聴覚、平衡機能、鼻腔機能、そしゃく・嚥下機能、音声又は言語機能、肢体の障害など

・内部障害
呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、代謝疾患、悪性新生物など
※難病も対象となることがあります。

障害基礎年金とは

障害基礎年金は初診日に国民年金に加入していた方(自営業者・専業主婦・学生など)が対象になります。

障害の程度に応じて等級は1級と2級の2区分に分けられます。障害者手帳の等級とは異なりますので注意が必要です。

障害厚生年金とは

障害厚生年金は初診日に厚生年金に加入していた方(会社勤務・公務員など)が対象になります。
障害の程度に応じて等級は1級~3級の3区分に分けられます。また3級に該当しない場合も「障害手当金」という一時金が受給できる場合があります。

以前は共済組合加入者対象の障害共済年金という制度もありましたが、平成27年10月1日以降は障害厚生年金に一元化されました。ただし、平成27年9月30日までに受給権が発生したものについては障害共済年金が支給されます。

障害年金の等級の目安は?障害者手帳の等級と同じか?

障害年金の等級と障害者手帳の等級は違いますので、障害者手帳の等級がそのまま適用されるわけではありません。障害者手帳を持っている、持っていないに関係無く障害年金を受給できる可能性があります。

※1級相当
常時介護を必要とする状態
(例)身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない。病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの。家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるもの。

※2級相当
常時ではないが、随時介護を必要とする状態
(例)家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできない。病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるもの。家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの。

※3級相当
労働が著しく制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする状態
(例)仕事が簡単な軽作業のみに限られている。短い時間しか働けない。

障害年金の受給額は?人によって受給額の違いはある?

障害年金で受給できる金額は初診日に加入していた年金制度の種類や障害等級によって変わってきます。また配偶者や子どもがいる場合はそれぞれ一定額が加算される場合があります。
年金額は年度によって改定されます。以下に金額を記載します。

【障害基礎年金の年額(令和3年度)。1級と2級があり、金額は固定です。】
1級:97万6,125円(2級の1.25倍)+子の加算額※
2級:78万900円+子の加算額※

※子の加算額は一人につき22万4,700円加算されます(3人目以降の子は7万4,900円加算)
※子の加算額はその方に生計を維持されている子がいるときに加算されます。
なお、子とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。



【障害厚生年金の年額(令和3年度)。1級~3級があります。1級または2級に該当した方は、原則として、同じ等級の障害基礎年金も支給されます。】
1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額※
2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額※
3級:報酬比例の年金額(最低保証額:58万5,700円)

※配偶者の加給年金額は年額22万4,700円が加算されます。
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者(年収850万円未満または所得額655万5,000円未満)がいるときに加算されます。
※配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。

障害手当金とは?

障害手当金は初診日に厚生年金に加入している方が障害厚生年金1級~3級には該当しないが、初診日から5年以内に治っている(症状が変わらない)場合に支払われる一時金のことです。年金ではありませんので継続して支給されるのではなく、一度だけの支給になります。


障害年金と同様に保険料納付要件などの要件を満たしていることが必要となります。
支給額は報酬比例の年金額×2(最低保証額:117万1,400円)となります。

障害年金を受給するための要件とは?

障害年金受給のためには、大きく分けて3つの要件を満たす必要があります。

①初診日要件
②保険料納付要件
③障害認定日要件

上記3つの要件を全て満たしていることが必要となります。①から順番に一つずつ確認していきましょう。

初診日要件

初診日とはその障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(その症状で初めて診療を受けた日)のことです。以下に説明します②と③の基準となる日になるため、初診日の日付の確定が要件となります。一番最初に確認するといいでしょう。

初診日は医療機関で確認することができます。現在通院している医療機関と初めて受診した医療機関が違う場合は、初めて受診した医療機関に確認をとることが必要となります。

カルテの保存義務は5年であるため、初めて受診してから年数が経過していますと、カルテが破棄されているなど確認が困難なことがあります。障害年金をご検討の方は早めに確認をするようにしましょう。



また、初めて受診した医療機関が現在は廃院となっている、カルテが破棄されている、などの場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出することにより初めて受診した日を初診日として認定される場合があります。

その際は、参考資料として障害者手帳やお薬手帳、領収書、第三者による証明書などを添付するようにしましょう。

初診日が分からず困った場合は、日本年金機構(年金事務所・街角の年金相談センター)などの窓口や社会保険労務士に相談してみるといいでしょう。

保険料納付要件

初診日が確認できましたら、初診日以前に保険料納付要件を満たしているか確認しましょう。
保険料納付要件には原則と特例があり、初診日が令和8年3月31日までの場合は特例が適用されますので、特例から解説いたします。

♦特例
初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納が無いこと。
♦原則
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。

障害認定日要件

初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やケガが治った場合(症状が固定した場合)はその日を障害認定日(障害基礎年金の場合、障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)といいます。この障害認定日に障害等級表に定める障害になっていることが要件となります。
そのため障害があってもすぐに障害年金を請求したり受給できるわけではなく、1年6ヶ月経過するか治って(症状が固定して)から請求する必要があります。


引用コンテンツ:障害認定日


引用元:日本年金機構詳しくはこちらへ


※また、障害認定日の時に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときは事後重症という形で請求ができます。ただし、65歳の誕生日の前々日までに請求しなければなりません。

20歳になる前に初診日がある場合、障害年金は受給できる?

初診日や保険料納付要件などを解説してきましたが、生まれつき障害のある方や20歳前の国民年金に加入する前に、ケガや病気などによる初診日がある方の場合は「20歳前の傷病による障害基礎年金」を受給できることがあります。

その場合パターンが2つあり、先天性の病気などにより20歳になる前に初診日がある方で、下記①②の日に1級または2級の障害等級に該当する場合は、障害基礎年金が支給されます。

①20歳になる前に障害認定日(原則、初診日から1年6か月)がある場合は20歳になった日
②20歳以降に障害認定日(原則、初診日から1年6か月)がある場合はその障害認定日

20歳になる前に初診日がある方の場合は保険料納付要件は問われません(初診日に保険料納付義務が無いため)。

障害年金の請求方法と流れを紹介

障害年金の請求には必要な書類をそろえて年金事務所(街角の年金相談センター)または自治体の年金課で行います。書類には受診状況等証明書や診断書といった「医師に依頼する書類」と、病歴就労状況等申立書や障害年金請求書などの「請求者が記載する書類」があります。その他にも年金手帳や障害者手帳などを用意したうえで、請求を行います。

「日本年金機構」のホームページから年金事務所の場所を検索することができます。

医師に依頼する書類

・受診状況等証明書
初診日を証明してもらうための書類となります。その傷病において初めて医師または歯科医師の診療を受けた医療機関に依頼します。
※ただし、その傷病において初めて医師または歯科医師の診療を受けた医療機関と診断書を作成してもらう医療機関が同じである場合は、診断書で初診日が証明できるため、受診状況等証明書を用意する必要はありません。


・診断書
障害の状態について具体的な内容を証明するための書類となります。障害認定日請求(※1)をされる場合は、障害認定日以後3か月以内の診断書が必要となりますので、その当時にかかっていた医師に依頼することになります。事後重症請求(※2)をされる場合は、現在かかっている医師に依頼します。

※1 障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の翌月分から)年金を受給できます。なお、障害認定日以降、いつでも請求できますが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度です。
※2 障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには請求日の翌月から障害年金を受給できます。ただし、請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。なお、請求した日の翌月分から受け取りとなるため、請求が遅くなると年金の受給開始時期が遅くなります。

請求者が記載する書類

・病歴・就労状況等申立書
障害についての具体的な状況や通院歴を記載する書類となります。記載は請求する本人や家族がします。
診断書だけでは伝わらない、具体的にどのような症状があり、日常生活や就労において、どのようなことで困っているのかなどについて記載します。

・年金請求書
障害年金を請求するためのの書類となります。年金事務所(街角の年金相談センター)や自治体の年金課でもらうことができます。年金には種類がありますので、必ず「障害年金」を請求したい旨を伝えるようにしましょう。

※この他に年金手帳、預金(貯金)通帳、戸籍謄本や住民票など必要になる場合があります。加算対象者がいる場合は、子の学生証や配偶者の所得証明書が必要となりる場合があります。

支給決定まではどのくらい日数がかかるのか?また支給日はいつなのか?

障害年金を請求してから結果が出るまで約3ヶ月程度かかるといわれています。支給決定された方へは「年金証書」というものが送付されます。
初回の振り込みは年金証書が送付されてから約2ヶ月ほどかかります。

振込みは2ヶ月に1回、偶数月の原則15日で振込み月の前2か月分になります(初回の振込みは奇数月の場合あり)。毎月振込まれる訳ではなく、また年額が一度に振込まれる訳でもないので注意が必要です。

障害年金の支給期間は?更新は必要?

障害年金には一度支給決定されると更新の必要がない「永久認定」と、一定期間(1年~5年)ごとに更新しなければならない「有期認定」があります。
永久認定となるのは障害の程度が変わらないと認められた場合であり、外部障害などに多いです。原則、障害等級は固定となり更新の必要はありません。

有期認定となるのは障害の程度に変化があると認められた場合であり、精神障害や内部障害などに多いです。更新時期が来たら再度診断書を提出しなければならず、新たに審査を受けることになります。その審査で障害等級に該当していると判断されれば、障害年金を引き続き受給することができます。

審査の結果、もし、障害等級に該当しないと判断された場合は支給が停止されますが、それは、あくまで支給停止ですので、症状が悪化などした時に再度診断書を提出し、障害等級に該当していると認定された場合は支給が再開されることになります。

障害年金のメリット・デメリットは?

メリット

障害年金を受給することで経済的な負担が軽くなるということは大きなメリットと言えます。
労働することが出来なくなると収入が無くなり生活に困ってしまうことが多くあります。
そういった時に年金として定期的に決まった金額が受給できることは、経済的に助けとなるでしょう。また、精神的な負担も楽になることが考えられます。

デメリット

それではどういったデメリットがあるのでしょうか?自分から伝えない限り障害年金の受給が他の人に知られることはありませんし、就職に不利になるということもありません。
ただ、障害年金請求時のデメリットとしては、制度が複雑なので一人で請求手続きを進めていくのが難しいといたことや、初診日から時間が経っているため初診日の確認がなかなか取れない、請求に受診状況等証明書、診断書、戸籍謄本などの費用がかかるといったことがあります。
また、受給できた場合のデメリットと考えられることを以下に記載しましたので、それを踏まえて検討していくといいでしょう。

・勤務先に障害年金の受給状況を知られる可能性がある
・健康保険の扶養から外れる場合がある
・所得制限の対象になる場合がある
・請求してから受給するまでに時間がかかる
・死亡一時金や寡婦年金が受給できない

障害年金の相談窓口とは?

デメリットでも挙げましたが障害年金の制度が複雑なため、請求を検討される方は市区町村の障害福祉課などの窓口や、年金事務所(街角の年金相談センター)へ行くと詳細な相談ができます。
また、電話でも相談することができますので、まずは気軽に相談してみるといいでしょう。

その他にも「社会保険労務士(社労士)」に相談するという方法もあります。

社労士とは年金の専門家であり、障害年金に必要な書類の準備・作成・請求手続きをしたり、不支給の決定がされた場合に不服申し立ての手続きをするなど様々なサポートを受けることができます。

初回相談は無料になっていることが多いです。相談後、依頼することになった場合、着手金や障害年金が受給できた場合に報酬を支払うことが一般的です。

今回のまとめ

障害年金はケガや病気などで働けなくなり収入がなくなったりして、日常生活に困った際に助けになる制度です。請求には様々な手続きが必要になりますが、受給できれば経済的な助けとなり、治療費や日常生活への負担も軽くなると思われます。

また、労働しながら障害年金を受給している方も多くいらっしゃいます。無理せずに働いていくためにも大切な制度であるといえます。

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